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2000.7.19
今日の体重 71.0kg
written by kama

【ピカチュウと安保闘争】
 今日、ふと本屋さんの棚をみかけたら、「小学一年生」がおかれていた。表紙はピカチュウとドラえもん。ドラえもんがいまだに少年少女のハートをつかんで話さないということにホッとするとともに、ピカチュウことポケモンが既にドラえもんと同等に扱われるほどのものになったということに、驚かざるをえない。
 そういえば先日TV東京でポケモンの映画を放送していたのでおもわず見てしまったが、はっきりいってあれをドラえもんと同等に扱っては、ドラえもんに失礼であるといわざるを得ない内容であった。「やおい漫画」という言葉があるが、「ヤマなし」「オチなし」「イミなし」の3拍子そろった、まったくもってやおいアニメである。ドラえもんなどは、それはそれ相当に科学技術だの伝統文化だの、お子様の発育によろしいちゅうか、われわれが今振り返ってもドラえもんで学んだことってあるなあ、ということがあるが、ポケモンではいろいろ考察してみたものの、どう考えても少年達に知識やら夢やらを与えるものは見出せない。やっぱり所詮は「ゲームボーイのしょぼい育てゲー」なのである。

 ところでぜんぜん話は変わるが、私の大学時代に在籍していた合唱団は、元をたどれば戦後の学生運動のなかで生まれたサークルである。「うたごえ運動」という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、要はヘルメットや火炎瓶を持って斗っているだけでは能がない、平和の歌を歌って世界の幸せを願おうではないか、と、部室にレーニン像を飾ってロシア民謡を練習してたりしたという、やや前向きな、そしてよく考えるとなんか方向が違ってる人々の集まりだったのである。
 あれから約50年、時代も移り変わり、平和を願う人達がつくった合唱団もいつの間にかイデオロギー色が消えて、純粋に美しい曲、楽しい曲を歌う合唱団になり、思想もイデオロギーも平和もあまり関係ない人々の集まりになったのである。
 しかし内容はまったく変わってもそれが50年続く1つの団体であることに変わりはなく、たまに何周年記念だとか言って集まったり、たまに最近の現役のコンサートに古いOBが行ったりすると、モロきしみがでてしまうわけなのである。若い人達にとって合唱団の集まりなのに、安保とか憲法だとか力説されても怖いだけだし、「演奏曲目に平和を歌っているものがないのはけしからん」とか言われても困ってしまうのである。
 しかしふと、先ほどの話とつながるのであるが、もしかして、「ドラえもん=古い人」「ピカチュウ=新しい人」なのか!? などと思っちゃったりしたのである。別にアニメは楽しければいいのであって、そこに知識やら夢やらまで求めてしまうのはやはり古い人なのかもしれないのである。うーむ。
 と、ふと見かけた本屋の棚から思いをはせる7月の暑い日であった。

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